私は医師ではありません。フツーの一般人です。
それゆえ、薄毛治療を語る資格はない、そうした医療に関する情報発信は「お医者様」に任せるべきだと思っていました。
でも、患者として30カ所以上の病院を回って思い直しました。なぜなら、
薄毛治療の病院は、診療方針が偏りがちで、患者が最適な治療を選べないことがことのほか多い。
そう知って、少なくとも薄毛治療に関しては、医師発信情報だから盲目的に信じてはダメだ!と思ったからです。
例えば、AGA治療をする病院には、商売根性むき出しで、やたらと高額な治療を勧めてきたり、自分の所で契約させようと他病院の有効な治療法を中傷したりするところが少なくありません。
また、医師の中には妙に考えが偏っていたり凝り固まったりしていて(自分が「世界一だ」と語る人もいました)、自分の治療が絶対に正しいと威圧感たっぷりに押し付け、患者が治療を選ぶ権利をないがしろにする人もいます。
こういう変な病院につかまってしまうと、お金を損するだけでなく、満足いくほどの増毛効果を手にできない恐れもあります。
そこで、患者の立場で30カ所以上の病院を見てきた私が、信頼できそうと思った医師の言葉を借りて、私たち患者が知っておくべき薄毛治療・AGA治療のホントの所をお伝えしたいと思います。
私が「信頼できそう」とした基準は、先ほど話した「悪い医師」の反対で、商売っ気が少なく、患者にとってベストな治療を勧めてくれるかどうか。
具体的には、①安い治療でも勧められる、②自分の所でやっていない治療でも勧めてくれる、が基準です。
*ここでは薄毛≒AGAとします。メンズサポートクリニックによると薄毛の95%はAGAだそうです。
https://msc-aga.jp/usukunaru.html
Contents
どれくらい効果があるのか?
薄毛治療の有効率は「何を効果とするか」という基準によって変わります。
現状維持を含めると9割以上
現状維持、つまり「治療開始をした時から薄毛が進行していない」を「進行を止めた」として効果とカウントすると、9割以上となります。
例えば、後ほど詳しく話しますが、プロペシアという薄毛治療薬を開発したMSD製薬によると(下の画像)、その薬の有効率は98%です。
この基準、どう思います?
理屈は分かりますが、「現状維持って効果に入れて良いの?」とちょっと違和感ありますよね。
だって、増やそうと思って薄毛治療をしに来たのに、「減ってないから効果あり」と言われてもヘリクツなような、うまく丸め込まれたような・・。
そういう意味では、我々患者側の視点で効果を判定して欲しいですよね。
と思ったらそういう観点で効果を語ってくれる病院がありました。
患者の満足度ベースだと8割
患者の満足度ベースで効果を計っている聖心美容クリニックの佐々木直美医師曰く、
薬で5~6割、注射も使うと7割後半くらい。逆に言うと2割強の人は残念ながら満足するほど生えてきません。ただ、20代など若い人ならもう少し効果が高くなります。
何となくですが、こちらの方が我々患者側の実感と近い気がします。
AGA治療は「薬」と「注射」
AGA治療は、「薬」と「注射」によるものが多くの病院で行われています。
「薬」(AGA治療薬)にしても数種類あり、患者の症状に合わせて処方を変えたり、量を増やしたりします。
また、薬では不十分だと思われる場合や、薬をどうしても飲みたくない患者の場合には、メソセラピーという「注射」による治療が行われます。
AGA治療薬とは?
薄毛治療・AGA治療には様々な薬が使われますが、「ほぼ」どの病院でも使われているのは、「プロペシア」、「ザガーロ」、「ミノキシジル」の3種類です。
この3種類を、患者の症状や要望に合わせ、
- プロペシアか、ザガーロの単独処方
- プロペシア+ミノキシジルの2種類処方、または
- ザガーロ+ミノキシジルの2種類処方
を選びます。
多くの病院では、1の単独処方を「現状維持」の治療と位置づけ、積極的な発毛を促したいなら2、3番目の複数処方をした方が良いと勧めてきます。
例:メンズヘルスクリニック東京
https://www.menshealth-tokyo.com/aga/cost/
何となくそちらの方が治療費が高いから勧めてきてるんだろうなあという気がしますが、実際その方が効果が高いそうです。
ちなみに、メンズヘルスクリニック東京では、1の単剤処方で効果は6割だけれど、2の複数処方なら8割の人に効果を出せると言っていました。
なお、プロペシアとザガーロは同じ種類の薬なので併用する病院はありませんでした。
プロペシアとは?
薄毛治療の効果を飛躍的に高めた、まさに画期的な治療薬。1999年の発売以来世界60か国以上で治療薬として使われています。
開発元のMSD製薬発表の有効率は3年間の服用で98%でしたが、これは現状維持20.2%含む数字です。
その内訳は、著名改善1割弱、中等度改善が4割弱、軽度改善が3割強、不変=現状維持が2割でした。
その作用ですが、薄毛を進行させる物質(DHT)を作る酵素(5αリダクターゼ)をブロックすると考えられています。
なお、日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版では、男性向けには「推奨度A」と最も高い評価を受けています。
ちなみに、プロペシアというのは開発元のMSD製薬の商品名で、成分名はフィナステリドといいます。
ザガーロとは?
プロペシアと類似の薬で、いわばプロペシアの進化版。イギリスのGSKという製薬会社が開発し、日本では2016年に発売されました。
その作用は、プロペシア同様、薄毛を進行させる物質の生成に関わる酵素をブロックするんですが、その酵素を阻害する作用がプロペシアよりも強いと言われています。
なお、先ほど挙げた日本皮膚科学会のガイドラインで、ザガーロも推奨度Aとされています。
ミノキシジルとは?
カンタンに言うと大正製薬のリアップの成分です。
病院ではリアップやアメリカ版リアップであるロゲインを処方してくれます。
が、それ以上にミノキシジルの「内服薬」を処方してくれるところが多いです。
実は、ミノキシジルの内服薬は日本では承認されていませんし、日本皮膚科学会のガイドラインでも文献データが乏しいため推奨度はDと最低評価です。
それでも、AGA治療の専門病院では「効果がある」として、ほぼ標準薬のような扱いで処方されるケースが多いです。
https://www.yokobikai.or.jp/course/medicine.html
参考までに、私の経験をお話しすると、効果は確かにありました。
その証拠に、散髪屋に「スゴイね」と言われていた生え際の無数の産毛が、服用を中止したとたん、一気に減ってしまいましたので。
メソセラピー(注射治療)とは?
頭髪の薄くなっている個所の頭皮に注射をして有効成分を注入し、発毛を促す治療法です。
頭皮に針を刺すわけですから痛いですし、何カ所も注射すると血の跡で赤い点々が目立ち、見た目が気になります。
そのため、最近では、ガスの力で押し込む方法や、イオン導入という方法で皮膚のバリア機能をかいくぐる方法を使う病院が増えています。
注入する有効成分には、ミノキシジル等の薬の成分を入れることもありますが、私の見た限りでは、成長因子という再生医療を応用した成分を注入する病院が圧倒的に多かったです。
その有効率ですが、各病院、その高さを誇っていて9割以上です。
https://www.sbc-aga.jp/menu/aga_meso/
ただし、成長因子を注入する治療法の有効性には色々な意見があり、先のガイドラインでも有効性を検証した文献が少ないとして推奨度C2(下から2番目)とされています。
「今後が期待される治療法ではあるものの,「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」などの法規に則って施術する必要のあるものも多く,現時点では広く一般に実施できるとは言い難いため,行わない方がよいことにする」(ガイドライン抜粋)
医学界としては「今後が期待される」としているんですから、治療症例を山ほど持っているAGAクリニックにはドンドン文献を書いて欲しいですね。
効果発現まで半年ガマン
毛が伸びるのは1日0.3㎜ほどですので、効果が目に見えて分かるのに数か月単位の時間がかかってしまいます。
一般的に、薬物治療は6か月服用すると効果が目に見えて分かり(下図MSD製薬)、その効果は先ほどのプロペシアの効果の表にもあった通り、3年くらいまで続きます。
メソセラピーはもう少し早くて、その半分の3~4か月で目に見えて効果が出ると説明されました。
湘南美容クリニックによると、メソセラピーは薬物療法と併用すると薬の効果発現時期を半分に縮めてくれる効果もあるそうです。
副作用は1割程度
効果が高くても副作用が強かったら使えませんよね。という事でここら辺は色々な医師にしつこく聞いてきました。
まず、私が色々な医師に聞いた限りでは、AGA治療全体としては、
- 「ネットで書かれているほど起こらない」(医師もネット情報見てます 🙂 )
- 「発現率は1割程度。しかも軽微なものばかり」
- 「止めれば元に戻る」
だそうです。
個別に見てみましょう。
プロペシアの副作用
下記の通りMSD製薬の発表した試験結果でも1割もありませんでした。
副作用の種類ですが、性機能系のものが大半です。性欲が減退したり、立たなくなると言ったものです。
とは言え、絶対に自分に起こらないとは言えません。
なので、医師の診断をベースに、自分がどれくらい効果がありそうなのかを知ってから、副作用のリスクと天秤にかけた方が良いと思います。
これはプロペシアに限らず、すべての治療に言えると思います。
ザガーロの副作用
上のプロペシアよりも副作用発現率が高いです。
ただ、プラセボ群(偽薬=小麦粉の固まり)の副作用発現率も15%と高く、ザガーロ0.5mgとの差がほとんどありません(気の持ち様って事でしょうか?)。
副作用の種類は、プロペシアと同じ。勃起不全やリピドー減少(性欲減退)など性機能関係です。
ちなみに、私も「立たなくなったら・・」と心配だったのでここは嫌がられるくらいしつこく聞きましたが、1人の医師を除いて
そんなに心配しなくてもいいですよ。万一起こっても薬を止めれば治りますから。
と言われました。
ちなみに、その一人の医師は「薬は危ないからウチで植毛手術をしなさい!」と言ってきました・・。
ミノキシジルの副作用
元々高血圧の薬なので、血圧が下がったり、むくんだりすることがあるそうです。
ただ、高血圧治療で使われる量が50㎎とか100㎎に対し、AGA治療では2.5㎎~5㎎なので、その発現率は高くないとか。
具体的な発現率は日本で承認されていない薬のため分かりませんが、あまりに心配なら飲まない方がいいと思います。
メソセラピーの副作用
注射で血がにじむことはあるけれど、それ以外の副作用が見つかってないとして、安全性の高い治療であるとされています。
https://www.harg.org/aboutharg
副作用の低いのは、注入する成長因子が元々体の中にある成分だからだそうです。
初期脱毛とは?
どの薬でも共通して起こるのが「初期脱毛」というもの。
2割くらいの確率で起こると病院で説明されました。
これは、新しい髪の毛が古い髪の毛を押し出すので、薬を飲み始めて1-2か月目に抜け毛が増える症状。
とすると副作用ではなく主作用なわけですが、薬を飲んでるのに抜け毛が増えるので心配になって薬の服用を止めてしまう人が多いとか。
ということで病院では「止めちゃダメ、聞いてる証拠!」と言われました。
男でなくなる?
上でも話しましたが、昔から薄毛=男らしさみたいなイメージがあるからでしょうか?薄毛の薬というと「男性ホルモンが減る」とか「女性ホルモンを増やす」といった誤解が根強くあります。
でも、これ、全く根拠のないデタラメです。
それどころか、男らしさを形作るテストステロンは、それを原料としてDHTに変換する酵素がプロペシアやザガーロによってブロックされるので、逆に増えると言っている専門医もいます。
https://www.bernsteinmedical.com/medical-treatment/propecia-finasteride/
AGA治療の費用は3,000円~
病院によって同じ治療でも倍以上になったりしますが、私の行った30カ所以上の病院のデータを示すと下記の通りです。
治療法 | 平均 | 最安値 | 最高値 |
フィナステリド1か月分 | 6,000円 | 3,000円 | 8,000円 |
ザガーロ | 10,000円 | 8,000円 | 12,000円 |
フィナ+ミノキシジル内服 | 20,000円 | 12,800円 | 43,200円 |
メソセラピー6回分 | 40万円 | 116,640円 | 972,000円 |
初診料・再診料 | 無料 | 無料 | 5,400円 |
フィナステリド(プロペシア)単剤の治療は、おおよそ、薬代で6000円くらい、一般病院だとそれに初診料や最新量が1,000円~2,000円プラスされます。最安値は、ジェネリックで、月に3,000円(湘南美容クリニック)です。
ザガーロはプロペシアよりも2,000円ほど高く、8,000円~。
ミノキシジルは、ほとんどの病院がフィナステリド(プロペシア)との2剤処方を勧めてきますが、1か月当たり、2万円以内の所が多いです。
一方、メソセラピーですが、これは高いです。今後有望だけどデータがないと皮ふ科学会にケチをつけられた「成長因子」が原因だそうで、1回の注射で6~7万円します。
これを普通、毎月1回、半年間続けるので、40万円くらいかかる所が多いです。
ちなみに最高値はHARG療法で100万円くらいします。最安値は銀座総合美容クリニックで1回の注射で2万円弱です。
なお、初診料・再診料は一般病院と違い、専門病院の場合はほとんどで無料です。
参考:私のAGA治療結果
参考までに私のお話をします。
「頭頂部&M字部分」の薄毛に20年ほど悩んでいるアラフォーのおっさんですが、「若い方が効くのは確かだが、まだ大丈夫」と診断され、結局フィナステリド1mg+ミノキシジル内服薬5mgの1日1回1錠ずつの服用を開始、今で2年を超えました。
効果は意外と早く、3週間目くらいで出ました。
洗面所で髪をかき上げた時に「あれ、生え際に産毛(うぶげ)?」、「髪の毛固くなってる?」と(思い過ごしかもしれませんが)実感し始め、6か月を過ぎるころには昔の薄毛が思い出せないほど増えました。
特に効果てきめんだったのは頭頂部と前頭部です。
治療前は椅子に座ってると上からのぞかれて「ヤバいね」と会社の同僚に言われていたのですが、今ではその面影は全くなくなりました。
ただ、M字部分は、産毛が山のように生えてきたのですが、それが太くなってくれません。まだ望みは捨ててませんが、M字は効果が出にくいというのはホントなようです。
副作用ですが、一番心配していた「立たなくなる」といった性機能の副作用は全く見られません。それどころが以前より強まった感じすらします(自信が持てるようになったから?)。
せいぜい起こった副作用と言えば、体毛、特に顔毛や手毛が異常に増えて家族からは「サルみたい」と不評です(私はまったく気にしていませんが)。
あと、初期脱毛は私には起こりませんでした。
いかがだったでしょうか?
皆さんの参考になれば幸いです!
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